お彼岸とは

秋と春には仏教行事として、皆様は墓参りや僧侶を招いてのお経や卒塔婆などを行うことにより法要(法事)を行う風習が根付いている日本での習わしとなっております。
このお彼岸とは日本仏教のみで執り行われる行事ですが、お墓参りに行かれる方が多く見受けられることです。
しかし、昨今では「彼岸」だからお墓参りや法事を行う人びとが多く、彼岸の意味(意義)を知らずに行っていることがほとんどです。

・彼岸とは「彼方の岸」であり、それは遥か遠くの浄土を意味することではありません。彼岸とは"苦しみのない仏の世界"を意味しています。また、私たちのいる世界のことを「此岸(しがん)」と称し、苦しみに満ちた世界を表します。
 わたしたちのいる世界は一切皆苦の何を行うにしろ苦しみに変わる四苦八苦の世界なのです。
 墓参りなどは、先に赴かれたご先祖様たちへの供養はもちろんなのですが、私たちも苦しみのない世界に赴くための自分自身への修行の場なのです。
 命というものは単体で生誕してくるのではなく、生きる上で命を根を感じることにより、初心や新しい心構え、新しい生き方を見つめ直す大切な法要が「お彼岸」なのです。
 幸せを感じるのは、心です。命の根幹を感受することで、仏の世界にいるご先祖様から現世回向があるのも確かです。
 昨今の葬儀や法事では、ただ行ったから大丈夫と思う人も少なくありません。
 先祖があって、私たちはその先祖の命を引き継いでいることを改めて知ることで生きる意味と感謝を知ることが自己の幸福度を高めていきます。
 どうぞ皆様方も宗教心は持たなくいいのです。一年365日の中で何よりも大切なのが命という生命です。仕事を優先したり、物質を優先することに執着しては大切な命の真髄を知ることはできません。
 釈迦は「正しい教えを知らないで100年生きるより、正しい教えを知って一日生きるほうが遥かにすぐれている。」と ” 真理(絶対)” の法則を説いてくれています。

どうぞ皆様方の本当の幸せを気づかせてくれるような「お彼岸」にしていただけることを切に願います。

合掌

あべの観音 無憂山 法観寺
住職より