「南無大師遍照金剛」
弘法大師 空海
突然ですが「空海」という僧侶は皆様ご存知の方は多いと存じます。歴史の授業でも少なからず記憶にあることと思います。わたしもそんな一人でした。
弘法大師 空海(宝亀五年6月15日~ 承和二年3月21日 西暦774〜835年)は、讃岐国多度郡(現在の香川県善通寺市)で、郡司である父・佐伯直田公と母・玉依御前の間にお生まれになりました。時は平安時代 今から1200年前に国家鎮護や衆生を救うために、多くの功績を残され、六十二歳にて御入定なされました。その86年後の921年に醍醐天皇より「弘法大師」の諡号(おくりな)を賜りました。
弘法大師 空海は弘仁元年(西暦810年)に真言宗を開宗されました。僧侶としてだけではなく、多くの分野にも長けており、文学・薬学など、そして書道の腕も優れ、三筆と称され、嵯峨天皇・橘逸勢・空海と有名であります。
引用:NHK「ブラタモリ」は好きな番組です(笑)
また、土木技術などでは日本最大の溜池である満濃池も修復なされました。また、庶民の学校も日本で初めて開校(綜藝種智院)されました。
有名なことわざで「大師は弘法に奪われ、体閣は秀吉に奪わる」とありますように多くの人々に「お大師さん」と馴染み呼ばれ、愛されております。
そんなお大師さんは31歳(延暦二十三年 西暦804年)のときに、唐(中国)に求法(仏教を求める)されに留学僧として出帆されました。当時中国の最大都市である長安(現在の西安市)にて、真言密教正統第七祖である恵果和尚(けいかかしょう)より遍照金剛の法号を授けられ、真言密教の第八祖となられました。
真言宗の法流の正系を示し、真言密教の教主大日如来の説法を金剛薩埵が聞いて教法が起こり、真言宗の教えが伝わった系譜である。
(密教の教主)
(強く光り輝き、大慈悲と知恵と不動心を持ち菩提の境地に至った仏)
第三祖 龍猛菩薩
第四祖 龍智菩薩
第五祖 金剛智三蔵
第六祖 不空三蔵
第七祖 恵果阿闍梨
第八祖 弘法大師
真言宗の教えが日本に伝わるまでの歴史に関わった8人の祖師。
(インドの人で、付法の第二祖である金剛薩埵から密教経典を授かる。右手に三鈷杵に持つ)
(龍猛菩薩から密教を授かる。右手に経文を持つ)
(龍智菩薩から密教を学び、唐へ渡り「金剛頂経」を伝える。右手に数珠を持つ)
(金剛智より「金剛頂経」を漢語に翻訳し、灌頂道場を開いた。外縛印を結ぶ)
(大乗仏教を学び、さらに密教を受け継ぎ80歳のときに唐に渡り「大日経」を伝える。右手の人さし指を立てている)
(禅や天台教学、天文学、数学を学ぶ。善無畏三蔵に入門し、口伝にて「大日経疏」を完成させた。法衣の中で印を結ぶ)
(金剛界・胎蔵界両部の密教を受け継ぐ。椅子に座り、横に童子を待らせている)
(恵果阿闍梨から金剛・胎蔵界両部を授けられ、日本に伝えて真言密教を開いた。空海 五鈷杵を右手に持ち、左手には念珠を持つ)
仏教といえばお経をイメージされるのではないでしょうか?経典は数知れずと七千余ともいわれてます。皆さまが耳にされたことのあります「般若心経(摩訶般若波羅蜜心経)」は何となく知っていることと存じます。
と、弘法大師のお言葉、「般若心経秘鍵」に記されております。仏様というと、どこか遠いところにおられるように感じるのではないでしょうか?しかし、上記のお言葉(夫 仏法遙かに...)は、仏様の教えや存在は遠いところにあるのではなく、自身の中にいつも在るのだと教えてくださっております。(悉有仏性)仏心を開花させるために修行をすれば皆、仏様の境地を感じ、生きることの楽しさが増し、豊かな人生を送れます。1200年の時を経た現代でも弘法大師の御教えは数多く仏教を超えて様々な分野で活かされております。
現在もなお、お大師さんは高野山 奥之院の御廟にて、生きとしいけるものをお救いになるために祈り続けてくれています。
お釈迦さまが涅槃(入滅)に入られ、仏教も末法の世(永承7年 1052年 は釈迦の教えだけが残り、修行も悟る人もなくなる時代)といわれる現代。では、誰が釈迦が入滅された後を誰が衆生を救うのかとなります。それは地蔵菩薩(閻魔大王の変化身)です。辻地蔵ともいいますが、町中には多くのお地蔵さまがおられます。釈迦に変わる良き教えを伝えてくれるのが、弥勒菩薩(未来仏)です。その時間は56億7000万年後と言われております。弘法大師 空海はその弥勒菩薩のおられる兜率天にて修行(十方三世を救い祈りながら、修行を続けている)を続けているのです。そして、弥勒菩薩とともにこの世に下生され、人々に説法し救うと約束されているのです。
私たちは弘法大師の誓願を引き継ぎ、二世(現在・未来)の間を末法滅法にせず、自他ともに命を生かし、弘法大師の御教えを広げていきます。
「南無大師遍照金剛」
(なむだいしへんじょうこんごう)
「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と呼びます。こちらは真言宗では御寶號(ごほうごう)と呼び、弘法大師空海(お大師さま)を讃えるお言葉であります。
「南無」とは、帰依する・感謝するなど多くの思いが込められております。
お大師さんが唐(中国)に留学しているときに、密教の第七祖こと恵果和尚(けいかかしょう)より密教を伝授され、そのときに遍照金剛と灌頂名を与えられました。この遍照金剛とは、大日如来を表すこの世の一切を遍く照らす最上の者としての意味があり、尊崇として真言宗の御寶號して唱えられるようになりました。また、真言宗では同行二人というお言葉も大切にしており、いつもお大師さんが皆さまのお隣におられ善き道へと導いてくれる功徳ある御寶號としても大切にしております。苦難が生じたときや、日々の感謝をお伝えするときに南無大師遍照金剛と七回お唱えすることで守護の法力があるとされてます。
合掌